宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(25)が9月末に死亡した問題で、外部の弁護士による調査チームの調査報告書がまとまり、歌劇団は14日、宝塚市内で記者会見を開いた。報告書は、「(女性に)強い心理的負荷がかかっていたことは否定できない」と指摘。木場健之(こばけんし)理事長は「報告書にはいじめやハラスメントは認められなかったと記載されている」としつつ、「大切なご家族を守れなかった」と女性の遺族に謝罪し、辞任を表明した。
報告書は、週刊誌で報道された、上級生がヘアアイロンを女性の額に当ててやけどを負わせたことについて「(故意だとは)確認できなかった」と指摘。また、劇団員へのヒアリングで上級生から女性に対して「うそつき野郎」「やる気がない」といった発言があったとの指摘もあったが、「いずれも伝聞であり、認定できない」と判断した。
その上で、「長時間にわたる活動に、上級生からの指導が重なり、(女性の)心理的負荷となった可能性は否定できない」と指摘。劇団側は「安全配慮義務を十分に果たせていなかった」と認めた。
劇団員の女性は9月30日朝、宝塚市の自宅マンションの敷地内で倒れて亡くなっているところを発見された。兵庫県警は自殺の可能性が高いとみている。
歌劇団は10月7日、木場理事長が記者会見を開き、外部の弁護士らでつくる調査チームを立ち上げたと発表。調査チームは女性が亡くなるに至った背景について、女性が所属した宙(そら)組の関係者を中心に聞き取り調査を進めてきた。
一方、女性の遺族の代理人弁護士は11月10日に記者会見し、死亡の原因について、月250時間を超える時間外労働といった長時間労働や、複数の上級生(先輩劇団員)による暴言などのパワーハラスメントがあったと指摘。歌劇団と運営する阪急電鉄に対し、事実に基づく謝罪と適切な補償を求めていた。
遺族側弁護士によると、女性は入団7年目で、新人公演の出演者のまとめ役を担っていた。同期生は女性を含めて8人いたが、退団などで2人に減り、新人公演に向けた稽古や下級生の指導など過重な業務を課されていたとしている。
さらに遺族側弁護士によると、パワハラについてはLINE(ライン)の記録などから確認し、2021年8月に上級生から「前髪を巻いてあげる」と言われてヘアアイロンを額に当てられ、やけどを負ったとしている。亡くなる直前には別の複数の上級生から頻繁に呼び出され、「下級生の失敗は、全てあんたのせいや」などの暴言を受けたとしている。
■調査報告書の骨子…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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