札幌市北区の「セイコーマート北31条店」で店員3人が死傷した事件で、店員たちはレジの中やバックヤードで襲われたとみられることが26日、北海道警への取材でわかった。一夜明けたこの日、周辺では事件を悲しむ住民の声が絶えなかった。
道警や運営するセコマの広報担当者によると、死亡したのは当日、弁当の特注があった同店に応援に入っていたセコマグループの男性社員(40)=札幌市北区=だった。
道警によると、刃物を持った男は最初、レジの内側に入りこんで、レジの男性店員(60)を狙った。その後、店舗中央で女性店員(58)を刺し、バックヤードに向かって男性社員を襲った。司法解剖の結果、男性の手や腕には抵抗したときにできる傷があり、複数の切り傷や刺し傷のため死亡したという。
男はさらに、レジから店外へ逃げた男性店員を追いかけ、店から約30メートル離れた場所で現行犯逮捕された。ほかの店員2人は店内キッチンにいて無事だったという。
店舗では26日も、現場検証が行われた。敷地は規制線を示す黄色のテープで囲まれ、ブラインドが下げられて店内の様子はうかがえなかった。
近くに勤務先があるという女性は「セコマは私たちにとって身近な存在。隣人が亡くなったようで、気の毒です」と声を落とした。
近所の男性(25)は、店内調理の「ホットシェフ」が好きで、店員による「もうすぐできあがりますよ」といった温かい声かけに接してきたという。この日も、ホットシェフの唐揚げを買いたかったといい、「(被害者は)会ったことがある人かもしれないし、セコマを襲うなんて……」と絶句した。
セコマ「目立ったトラブルなかった」
セコマは26日、店員3人が死傷した北31条店について、事件までに目立ったトラブルがなかったことを明らかにした。朝日新聞の取材にメールで回答した。
また、事件を受け、今後の各店舗の防犯対策について尋ねたところ、「従業員の安全を最優先に考えています」と説明。強盗が発生した際、抵抗せず身の安全を第一に考えるようにし、その後の通報などについてもマニュアル化するよう指導していたという。また、災害が発生した場合や緊急時にはためらわず避難するよう呼びかけていた。
その上で、「今回の事件を踏まえ、防犯対策を再点検し、従業員の安全を守っていきたいと考えます」とコメントした。(新谷千布美、上保晃平)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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