国土交通省は、工事現場などで出た「残土」について、発生場所からどこに運ばれたかを記録し、追跡できるようにする「トレーサビリティー」システムの導入に向けた検討を始めた。残土は管理や処分に関する明確な法規制がないため、違法な盛り土などにされ、土砂崩れなどにつながる事例が全国で相次ぐ。残土の動きを把握することで不正処分を防ぐ狙いだ。
静岡県熱海市で起きた土石流では盛り土が被害を拡大させたとみられ、業者が市に届け出た量を超す残土が持ち込まれていた可能性がある。こうした問題に注目が集まる中、国交省は近く、国発注の公共工事で実証実験を始める予定。
残土は建設現場やトンネル工事現場で生じるもので、「建設発生土」とも呼ばれる。その後に再利用できる「資源」とされ、法律で厳しく規制される廃棄物には当たらず、残土そのものをしばる法律はない。
国交省によると、2018年度に全国の工事現場で出た残土は約2億9千万立方メートル。半分近くは発生場所から別の場所に運ばれたが、最終的な受け入れ場所までに仮置き場などを複数経由することが多く、移動の実態把握も難しいとされる。
現状では、残土を運ぶ車両1…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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