寺島笑花、岡田真実
長崎原爆の被爆者の子である「被爆2世」が、国が2世への援護策を講じなかったのは憲法違反だとして、国の責任を問うた裁判。長崎地裁は12日、原告の請求を棄却した。
「腹が立つ。納得がいかないです」。この日、自宅で判決を聞いた原告の阪口博子さん(73)は怒りをあらわにした。
被爆者だった母は59歳で直腸がんを患い、64歳の若さで亡くなった。そのとき38歳。「あまりにもショックだった」。あらためて自分が2世であることを意識せざるをえなかった。
母は22歳の時、爆心地から約3キロ地点で被爆した。阪口さんが小学校に上がるまでの間、いつも病床に伏していたことを覚えている。
自分と同じ2世のいとこはよく鼻血を出し、20代で亡くなった。一度だけ母に聞いたことがある。「原爆の影響ではないか」。母は、強く否定した。不安をかき消すためだったのではないか――。今になって思う。
これまで2世として、自身の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル