父は「小池」、母は「内山」、そして娘の私は「小池」――。長野県の高校生が、夫婦別姓を選んだ両親を題材にしたドキュメンタリー「うちって変ですか?」をつくった。そして初めて知った。「日本で夫婦別姓って、できないことだったの?」
長野県岡谷南高3年の小池真実(まみ)さん(18)は放送部員。昨春、毎年6月に県大会が開かれるNHK杯全国高校放送コンテストに向け、直前までネタを探していた。放送部の顧問は同校教諭で母の内山由香里さん(52)。ほかの部員が「親子なのに姓が違うっておもしろい」と小池さん家族を題材に、別姓をテーマにしようと提案した。
小池さんの家の玄関には印鑑が二つある。宅配便を受け取るとき、「小池」あてか「内山」あてかを確認し、「ハイハイ、こっちね」と印鑑を押すのが日常だ。小池さんにとって両親の姓が違っていることは当たり前で、どうしてなのか理由を尋ねたこともなかった。
民法750条は、夫婦どちらかの姓を名乗るよう規定する。だが現実には96%の女性が夫の姓に変えており、国連の委員会からも女性差別だと何度も勧告を受けている。
「結婚は白紙」母は言われたが
初めて、母にインタビューをした。どうして姓が違うの? お父さんはなんて言ったの?
母の内山さんが結婚したのは1991年。高校教員の同僚だった夫の小池幸夫さん(62)との結婚が決まると、周りから「おめでとう。小池さんになるんだね」「仕事はどうするの」と声をかけられ、「モヤッとした」。大学時代に別姓の女性教員と身近に接した経験から、結婚するなら別姓がいいなと思っていた。
結婚の数カ月前、夫の実家へ向…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル