母は1週間前に「お迎え」の夢、遺影は父と同じ45歳

それぞれの最終楽章・読者から(3)

西山桂子さん(兵庫県姫路市・75歳)

 父が腎臓病を患い45歳の若さで亡くなった時、母は40歳でした。高校3年の私と一つ違いの妹、中学3年と中学1年の2人の弟が残され、母は10坪ほどの小さな洋品店を切り盛りして、文字通り女手一つで4人の子どもを育て上げてくれました。暮らし向きは質素でしたが経営は手堅く、父が残した借金を返した上に終(つい)のすみかのための土地を買い、阪神淡路大震災をきっかけに72歳で店を畳みました。

 母は信心深く、父の死後、お経を唱えるのを忘れたことはありません。仏壇の前に座布団も敷かず朝夕10分ほど唱えます。畳はそこだけ少しへこんでいました。

 87歳で父の待つ世界へ旅立つ1カ月ほど前、急におなかが痛いと言い出しました。それまで病気らしい病気はしたことはありませんでした。診察を受け「胃にしこりはありますが、がんではありません」と診断されました。入院しましたが「年寄りばかりで、かえっておかしくなる」と2週間ほどで退院しました。

 自宅に戻ってから、急坂を転げ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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