長さ7センチ。幅2・5センチ。森永製菓の黄色い包み紙が、母子手帳にはさまっている。中身は空だ。その下に1枚の紙片がある。
〈3月13日PM〉
〈通りすぎたのに戻ってきて、子供にキラメルをくれた ありがとう がんばります〉
慌ててメモしたため、小さい「ヤ」が抜けている。
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山本和子さん(41)は、長男・悠稀(ゆうき)くんの母子手帳を開くと、30歳過ぎだったあのときの感情がわき上がってくる。
これからどうなってしまうのか。離婚し、夫はもういない。3歳の一人息子を守っていけるのか。
ひとこと、お礼が言いたい。あの人は誰だったのか。
9年前の初春。岩手県釜石市の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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