水面に雲が浮かんでいるようだ。140年前に発明された一枚帆の漁船は、日本第2の湖の風物詩として親しまれてきた。
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波穏やかな湖面をすべる船。真っ白い帆が風をはらみ、優美なカーブを描く。遊覧船で近づいてみると、高さ10メートル、幅20メートル近い帆は思いのほか大きくて力強く、迫力満点だ。
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国内で2番目に大きい湖・霞ケ浦(茨城県)では、帆引き船と呼ばれる帆船が漁業に使われてきた。現在の同県かすみがうら市出身の折本良平が、1880(明治13)年に発明した。
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「当時は20人ほどで大網を引く漁法が主流だった。富国強兵を背景に戦地の保存食として佃煮(つくだに)の需要が高まり、少人数でも漁獲をあげられるよう帆引き船を考案したそうです」。市歴史博物館の千葉隆司館長(49)が教えてくれた。帆引き船の技術は、歌手の故・坂本九の祖父でかすみがうら市出身の坂本金吉によって、秋田県の八郎潟にも伝えられたという。
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帆引き船は風を一枚帆に受け、船を横に滑らせながら網を引く。1~2人で操れるが、風が帆を押す力と漁網にかかる水の力のバランスを上手にとらないと船が倒れてしまう。ワカサギやシラウオ漁に活躍し、最盛期には500隻以上が操業した。さぞ壮観だっただろうが、動力船の登場で1960年代後半に急速に廃れた。数年後、霞ケ浦の風物詩を惜しむ声に応えて観光用に復活。現在は沿岸の土浦、かすみがうら、行方(なめがた)の3市で運航されている。
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3市にはそれぞれ技術伝承と後…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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