水中ドローンで不明者捜索 無償活動を続ける男性の記憶

 東日本大震災では東北地方を中心に約2500人の行方不明者がいる。手がかりを捜し、海中の遺品捜索をしている人がいると知り、私(25)は電話をかけた。

記者が歩く 東日本大震災10年
 東日本大震災から間もなく10年。余震はいまも続き、13日夜にも最大震度6強の揺れが襲った。復興に向けた人々の歩みは、前に進んだのか。被災地を記者が歩き、考えました。

 「捜索を見に来ませんか」。太見洋介さん(43)から誘われ、昨秋、宮城県亘理(わたり)町にある汽水湖「鳥の海」に面した会社を訪ねた。黄色いライフジャケットを渡され、船外機付きの小船で沖に出た。

 海から吹き付ける風は肌寒い。太見さんがシュノーケル用のゴーグルを着けた。湖に浮かぶ小島に近づくと海に飛び込んだ。水中をのぞきながら、手にした金属の棒で底をつつき始めた。湖は津波を運んできた太平洋とつながっている。

拡大する手にした棒で水中を掘りながら行方不明者の手がかりを捜す太見洋介さん=2020年10月5日、宮城県亘理町の鳥の海、近藤咲子撮影

 ほどなく顔を上げた。「ここ、たぶん自転車が埋まっているね」。感触と形から、岩場に車輪とサドルのようなものを探り当てたらしい。

 引き揚げはせず、淡々と次の捜…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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