風になびく赤いマフラーと「ゼーット!」の雄たけびといえば、アニメソング歌手の水木一郎さん。アニメや特撮ドラマの主題歌を49年間熱唱し続け、持ち歌の数は1200曲超。そんな「アニメソング界の帝王」が長年、不思議に感じてきた言葉がある。歌手にあこがれ、都心のジャズ喫茶に通い詰めた10代の時にかけられた、思いがけない一言とは?
拡大する右手の人さし指を突き出すのは決めのポーズだ。トレードマークの赤いマフラーこそ首に巻いていないものの、熱い魂を込めて「ゼーット!」=2020年2月19日、東京都内、村上健撮影
歌手にあこがれ、中学時代には都心のジャズ喫茶でライブを聴いていた。エルビス・プレスリーやニール・セダカら、今で言うオールディーズ曲のコピーが多く、当時コミカル路線を模索し始めた「桜井輝夫とザ・ドリフターズ」も出演していた。リーダーの桜井さんから「うちで歌を勉強しないか」と誘われ、テレビ番組の収録やライブの現場に付いて行った。メンバーには、いかりや長介さんらもいた。
拡大する真っ赤なマフラーがトレードマークの水木一郎さん。布の中に仕込んだ針金によって風でなびいたような形を保つ
桜井さんの勧めでジャズ喫茶のオーディションを受け、米国のポップスを歌って優勝したのは16歳のとき。その直前、桜井さんから言葉をかけられた。「お前は和製フランク・シナトラになれ」。ささやくような太い声のシナトラの曲を面前で歌った覚えはなく、真意が分からなかった。その後、別のバンドに入り、以来、桜井さんとは会っていない。
20歳で念願の歌手デビュー。…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル