燃料電池車のガソリンスタンドにあたる「水素ステーション」について、会計検査院が、国の補助金で設置された約20カ所を調べたところ、「再生可能エネルギーだけで電力をまかなう」という補助要件が守られていなかったことが関係者への取材でわかった。ほぼ全てで一般の商用電力が使われていたという。検査院は約20億円の補助金の使い方が不適切だと環境省に指摘。同省は今年度、事業の募集を見合わせた。
水素ステーションは、水に電気を通して作りだした水素を燃料電池車などに補給する装置だ。環境省は「低炭素社会の実現につながる」として、二酸化炭素を排出しない再エネ電力だけで水素を作る「再エネ水素ステーション」への補助事業を2015年度に開始。18年度までに計27の自治体や企業に交付した。補助率は4分の3。設置費用は1億3千万円程度のため、1カ所あたりの補助金は約1億円だという。
関係者によると、検査院は1年以上の稼働実績がある約20カ所のステーションについて、水素を作るために使われた電力を調査。太陽光などの再エネ電力だけではなく、ほぼ全てのステーションで、家庭などでも使われる一般電力が含まれていた。再エネ発電の割合は様々だが、全体の3割程度や、ほとんどゼロのケースもあったという。
国内の発電は、二酸化炭素を排出する石炭や天然ガスによるものが7割を占める。こうした点も踏まえ、検査院は稼働実態が補助の要件を満たしていないと判断した。
水素エネルギーは政府が環境対…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル