用水路に転落した男性(91)を発見して110番し救助に貢献したとして、秋田県警鹿角署は3日、小坂小5年の小野流暉空(るきあ)さん(11)に感謝状を贈った。贈呈式に合わせて開かれた全校集会では、児童約160人が見守るなか、男性の命を救った流暉空さんの行動がたたえられた。
事故が起きたのは、8月23日午後2時半ごろ。遊びに出かけた後に1人で帰る途中だった流暉空さんは、あと数メートルで自宅に着くところで、「助けて」という男性の声を聞いた。
足元を流れる用水路のすぐそばには草刈り機が放置されていたが、人の姿は見えない。用水路を覆う鉄板の下をのぞき込むと、足だけが見えた。声の主は、幅30センチ、深さ70センチほどの用水路に仰向けの状態で体がすっぽりとはまっていて、草刈りの途中で足を滑らせて転落したようだった。
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水は男性の顔にかかるくらいの深さで、息をするのがやっとの状態。とっさに鉄板を持ち上げようとしたが、1人では無理だった。「助けを呼ばないと」
自宅は留守だったため、向かいの家のインターホンを鳴らした。だが出てきたのは高齢の女性ひとり。鉄板を動かすにはやはり人手が足りず、自宅の電話で110番した。「人が用水路の中に入っている。助けに来てください」。この通報の最中に、母の真弓さん(40)が帰宅。真弓さんや近所の人計3人で鉄板を動かし、男性を引き上げた。
男性は低体温症による肺炎の疑いで入院したが、その後、無事に退院。流暉空さんの自宅を訪ね、感謝を伝えてくれた。
「おじいさんが助かってよかった」と流暉空さん。「表彰されて、いいことをしたんだなと思った。みんなにも知ってもらえてよかった」
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感謝状を贈呈した鹿角署の一関雄一署長によると、用水路は水深が浅いときでも、人がはまってしまうと流れがせき止められて水かさが増し、深くなることがあるという。一関署長は「とっさに行動を起こせる子はなかなか少ない。すぐに大人に助けを求める機転が素晴らしい」とたたえた。(高橋杏璃)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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