氷原に青い航跡描くガリンコ号 コロナ禍で客層に変化も

 北海道東部のオホーツク海沿岸に相次いで流氷が接岸し、流氷観光船の運航が本格化している。紋別市の紋別港からは23日、流氷砕氷船「ガリンコ号Ⅱ」が出港。ダイナミックに氷塊を割りながら流氷帯の中を航行し、真っ白な氷原に青い航跡を描いた。運航会社によると、コロナ禍で客層に変化がみられるという。

 紋別市では21日に平年よりも18日早く、流氷が陸地に達して船が航行できなくなる「流氷接岸初日」を迎えた。ガリンコ号は20日から運航を始め、初日から流氷に遭遇している。

 23日は2便が出港。午前10時30分発の1便は乗客約120人を乗せ、港を出てすぐに流氷帯に突入した。

 船首の左右にある巨大なドリル(アルキメディアンスクリュー)を回転させ、ドーン、ドーンという衝撃とともに、直径1~3メートルほどの流氷を砕き、豪快に氷原の中を前進。その迫力に乗客らは「すごい!」「すごい!」とマスク越しに声を漏らしていた。

 紋別港の防波堤の上には国の天然記念物のオオワシが羽を休め、流氷の上にはアザラシの姿も。

 千葉県内から網走市へ単身赴任中という公務員立原秀一さん(54)は、オホーツク地方で流氷シーズンを迎えるのは初めて。網走から列車とバスを乗り継いでやってきた。「ものすごく楽しみにしていました。これだけの規模の氷を見られて感無量です」

 運航会社のオホーツク・ガリンコタワーによると、コロナ禍になって以降、海外からの観光客がゼロになり、首都圏や関西圏からの乗客も大きく減った。その代わりに道内客の割合が増加。年齢層にも変化がみられ、コロナ禍前は年配者が多い傾向だったが、今では若者が増えてきたという。

 同社では、新型コロナウイルス感染症対策として、定員195人のガリンコ号Ⅱの乗客の上限を145人とし、乗客全員に乗船前の検温、手指のアルコール消毒、乗船中のマスク着用の協力を呼びかけている。

 同社営業部企画主任の佐賀司さんは「平年よりも早く流氷が接岸し、多くの人に楽しんでもらえています。ただ、自然のものですので、今日はあっても明日は遠ざかっていることもあります。その点はご了承下さい」と話している。

 問い合わせは、オホーツク・ガリンコタワー(0158・24・8000)へ。(神村正史)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment