汚職で贈賄側の中学教科書、使用打ち切りへ 「不公正行為」で全国初

 大阪府藤井寺市立中学校の教科書選定を巡る汚職事件を受け、市教育委員会は10日、贈賄側の大日本図書(東京)の数学と保健体育の教科書の使用を新年度から取りやめ、新たな教科書を採択し直すと発表した。文部科学省によると、採択で不公正な行為があったとして教科書を採用期間中に変更するのは全国で初めてという。

 市教委によると、今の教科書は2021年度から4年間使う予定だった。今後、各社の教科書を評価する調査員の教員(5人)や、採択候補を選ぶ選定委員(6人)を新たに選び、2月下旬に採択する新教科書を決める。採択事務の透明性を図るため、従来はなかった選定委員会の議事録を作成するとしている。

 文科省によると、教科書無償措置法施行規則が16年に改正され、教科書採択で不公正な行為があった場合、採用期間の途中で別の教科書への変更が可能になった。

第三者委、聞き取り調査の対象人数は「非公表」

 一方、市が設置した「市教科書採択に係る第三者委員会」(委員長・畠田健治弁護士)の第2回会合が10日、市役所で非公開で開かれた。

 市教育委員会によると、委員3人が関係者に聞き取り調査をする日程案などを決めた。2月中をめどに調査し、その内容などに応じて第3回会合の日程を決める。調査対象の人数は「調査に支障がある」ことを理由に非公開としている。

 この事件では、各社の教科書を比較する調査員に任命予定だった教員の氏名や、調査員が作成した資料を大日本図書に漏洩(ろうえい)したとして、教科書選定委員だった元市立中学校長(61)が加重収賄などの罪で昨年11月に在宅起訴された。

 昨年12月21日の初公判で元校長は起訴内容を認め、検察側は懲役1年6カ月を求刑。弁護側は執行猶予つきの判決を求めて即日結審した。

 大日本図書の元取締役(65)と社員(35)は贈賄罪で略式起訴され、元取締役は罰金50万円、社員は同30万円の略式命令を受けた。(森嶋俊晴)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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