江戸期の農民たちが造った石橋、国宝に 災害乗り越え170年間現役

【動画】国宝に指定される見込みの石造りのアーチ橋「通潤橋」=山都町提供、杉浦奈実撮影

 土木構造物として初の国宝が今秋にも誕生する見通しとなった。

 熊本県山都町の石造りのアーチ橋「通潤橋」。豪快な放水風景で知られるが、江戸時代から利用されてきた現役の水路橋だ。

 橋は、熊本地震や大雨の被害を乗り越えて今も台地の約100ヘクタールの水田を潤し続けている。

 「国宝の中には時の権力者が権威づけにつくったものもあるが、通潤橋は私利私欲ではなく布田(ふた)さんが農民のためにつくったもの。うれしい」

 「通潤地区土地改良区」総括監事で橋を先祖代々管理してきた中村豊光さん(72)は23日の文化審議会の答申に、笑顔を見せた。

 「布田さん」とは、地元の惣庄屋(現在の町長)だった布田保之助(やすのすけ)(1801~1873)のこと。通潤橋を企画して工事の責任者を務めた。

台地潤すため、近世最大級の橋造り

 四方を谷に囲まれた白糸台地は、谷から水を引くことが難しく、農民は慢性的な水不足に悩まされていた。

 その台地に約6キロ離れた笹…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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