池の水を抜いて環境を整える「かいぼり」の先駆地となった井の頭公園(東京都三鷹市・武蔵野市)の井の頭池に、新たな課題が生じている。前回の実施から5年。一度は外来魚を駆除し、水質は改善されたが、今は「侵略的外来種」の水草が池を覆い尽くしている。何が起きているのか。
「エビだ!」。子どもたちから歓声があがった。井の頭池で10月中旬、ボランティアグループ「井の頭かいぼり隊」が開いた観察会。かいぼり後に増えた在来種のヌカエビやギンブナを紹介すると、子どもたちの視線が集まった。
かいぼり 農業用ため池の伝統的な管理方法で、農閑期の冬に池の水を抜いて底を干し、魚を捕ること。池底の泥をさらって貯水容量を確保し、水質の悪化を防ぐ。泥は肥料として畑に入れ、捕れた魚は食料とした。現在は仕様を変え、外来種の駆除や水質改善、水草の再生など生態系の回復を目的に、環境NPOなどが各地で実施している。水抜きから天日干しなど含めて3カ月くらいかかる。
その隣では、NPO法人「生態工房」のメンバーらが浮輪を使って池の水面を移動しながら、外来種の水草やアメリカザリガニを駆除していた。佐藤方博(まさひろ)事務局長は、「最近は外来種のコカナダモの増加に悩まされている」と話す。
井の頭池では開園100周年を前に2014~18年、生態工房などがかいぼりを3回実施した。肉食性のオオクチバス(ブラックバス)やブルーギル、アメリカザリガニなどを駆除し、2度目の後には、絶滅したと思われていた幻の水草「イノカシラフラスコモ」が復活。水中の透明度が上がり、一時はネット上で「モネの名画『睡蓮(すいれん)』のよう」と評判になった。
それから5年。モネの睡蓮は姿を消した。
今年10月末に水底をのぞく…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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