沈没直前「飛び込んで」 小学生ら50人が海へ あのとき何が

 香川県坂出市沖の瀬戸内海で2020年、修学旅行中の小学生ら62人が乗った旅客船が座礁、沈没した。あの日、何が起きていたのか。なぜ、全員無事に救助できたのか。19日に国の運輸安全委員会が公表した調査報告書と、これまでの取材からたどる(年齢は当時)。

 20年11月19日午後3時半、旅客船「Shrimp of Art」は高松港から出発した。

 船には、坂出市立川津小学校に通う小学6年生52人、教員5人、バスガイド2人と添乗員1人、乗組員2人の計62人が乗り込んだ。

 小学生にとっては、県内1泊2日の修学旅行の最後を締めくくる瀬戸内海クルージングだ。

 出発から約1時間。午後4時20分に、瀬戸大橋の撮影ポイントに到着。約10分間停船した。

 午後4時32分ごろ、航行再開。

 教員が、瀬戸大橋の下にある岩黒島東側の説明を始めた。その場所は予定のルートからは見えない。船長(45)は「子どもたちが実際に見学できた方がいい」と進路の変更を思いつく。

突然の進路変更 気付かなかった海面の岩

 船長は、小型船舶の船長として約7年の経験があり、過去には航行できなくなった船を救助したこともある。だが、この船での瀬戸大橋付近の遊覧は2回目だった。

 浅瀬や岩礁について把握できていると思っていたが、満潮時には水没し、干潮時には水面上に露出する「干出岩(かんしゅつがん)」の存在は知らなかった。

 午後4時36分。干出岩に衝突。

 ルート変更の際、船長は位置情報や水深を表示する「GPSプロッター」の画面を一瞬見ただけ。画面を拡大して入念な確認はしておらず、干出岩に気付かなかった。

 クラッチが作動せず、操縦もできない。船体も沈み始める。甲板員(33)が客室の床にあるハッチを開けると、機関室の底から約40センチまで浸水していた。

 午後4時43分、船長は携帯…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment