宮野拓也、光墨祥吾、安田朋起
小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の8月の噴火でできた大量の軽石が、約1400キロ離れた沖縄本島などに相次いで漂着している。海岸や港を覆い尽くすほどの量があり、船の運航や漁業、観光などに影響が出ている。
いけすの魚300匹の半数死ぬ 「相手が自然では」
気象庁や産業技術総合研究所によると、東京湾から約1300キロ南にある福徳岡ノ場で8月13日に始まった噴火で、大量の軽石が噴出。海面を埋めた軽石が海流に乗って西に流れた。10月4日に沖縄県の北大東島と南大東島に漂着。11日に鹿児島県の奄美大島、13~14日には沖縄本島でも確認された。鹿児島県喜界町では10日に東海岸で軽石の漂着を確認。23、24日にはボランティアが一部の海岸で軽石の撤去を始めた。
沖縄本島北部の国頭村(くにがみそん)・辺土名(へんとな)漁港には、北風が吹いた16日ごろから軽石が集まりだした。20日以降、国頭漁協が港内のスロープから軽石を1トントラックで40台分ほど回収して運び出したが、次々と押し寄せ、23日以降は港の水面が大量の軽石で覆われている。「船の故障が怖くて出漁できない」といい、ほとんど漁ができていないという。
また、いけすで育てていた魚300匹のうち半数が25日朝、死んでいるのが見つかった。さばくと胃の中に軽石があったことから、軽石を食べた影響とみられるという。漁協の大城力業務課長は「(軽石は)本当に青天のへきれき。先は全く見通せないが、自然が相手で怒りをぶつける先も無い」と話していた。
国頭村の隣の今帰仁村(なきじんそん)でも16日ごろから海岸に軽石が漂着した。村によると、18、19の両日に全域を調査したところ、北側の海に面した砂浜にはいずれも漂着しており、現在も大きな変化はないという。漁業や水上バイクなどの事業者に影響が出ており、県と処分方法などを協議している。
海保の巡視艇もエンジントラブル 航行不能に
中城(なかぐすく)海上保安部(沖縄市)によると、沖縄本島の南約55キロの海上で23日午後6時ごろ、巡視艇「しまぐも」(約100トン)が航行不能になった。漂流する軽石を避けながら航行していたが、海水を取り込んでエンジンを冷却する装置の配管に軽石が詰まったことが原因という。同じ訓練をしていた別の巡視船が同午後9時40分ごろ、ロープで曳航(えいこう)を始め、24日午後2時前に本島中部の港に到着した。乗組員9人にけがはなかった。
産業技術総合研究所の及川輝…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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