沖縄戦「集団自決」の語り部、金城重明さん死去 93歳

 77年前の沖縄戦で、沖縄本島の西に位置する渡嘉敷島で起きた「集団自決」を生き残り、戦後はその体験を証言してきた金城重明さん=那覇市=が19日午前、急性心不全のため那覇市内の病院で死去した。93歳だった。葬儀は23日、近親者らで営まれた。喪主は妻の恵美子さん。

 1945年3月、米軍が渡嘉敷島に上陸した際、追いつめられた住民は、手投げ弾や石などで家族を殺害した。16歳だった金城さんも、9歳の妹と6歳の弟、母親を手にかけた。

 自身は沖縄戦を生き延びたが、家族の命を奪ったことに苦しんだ。キリスト教に出会い、沖縄キリスト教短期大学の学長を75~79年に務めた。95年には著書「『集団自決』を心に刻んで」で自らの体験を告白し、語り部としても活動してきた。

 国の教科書検定の違法性が問われた「家永教科書訴訟」では、自身の体験を法廷で伝えた。集団自決を旧日本軍が命じたと記述した大江健三郎さんの著作「沖縄ノート」をめぐる訴訟では、「軍の命令なしに起こりえなかった」と証言し、「軍の関与」を認定した判決に影響を与えた。(山中由睦)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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