東京五輪・パラリンピックで初めて空手が採用され、沖縄の空手界が活気づいている。伝統の武芸が世界の脚光を浴びて、地域振興にも弾みがつくと期待が高まる。一方で、先端技術を活用して新しいスポーツを生み出そうという地域もある。「ご当地スポーツ」の現在を探った。
世界に愛好家1億3千万人
10月下旬、沖縄県豊見城市の高台に立つ沖縄空手会館を訪れた。エントランスを入ると真正面に、地元紙の大見出しが躍っている。
「喜友名 金」「県勢初の快挙」。見出しに囲まれた写真は沖縄市出身の喜友名(きゆな)諒(りょう)選手の雄姿。東京五輪の空手・男子形での優勝を報じる号外だ。
会館は「空手発祥の地・沖縄」を国内外に発信する拠点として、県が2017年3月にオープンさせた。
国際大会も開ける競技コート4面を備えた道場のほかに、赤瓦の屋根の特別道場があり、高段者の昇段試験や名人の演武に使われている。本場の空手を体験しようと国内外から訪れる人に最適の流派や道場をアドバイスする案内センター、沖縄空手の歴史を学べる展示施設もある。
空手の起源には諸説あるが、琉球王国の士族が教養として身につけた護身術がルーツとされる。大正時代に本土の大学生に伝えられ、移民や米兵らによって海外にも広まった。
「現在、世界199の国と地域に1億3千万人の空手家、愛好家がいます」
そう胸を張る佐和田勇人(は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル