昨年7月の参院選広島選挙区で初当選した自民党の河井案里氏(46)と夫の克行前法相(57)=衆院広島3区=が広島県内の地方議員らに現金を配ったとされる買収疑惑で検察当局が、克行氏を17日の国会閉会後に公選法違反(買収)容疑で立件する方向で最終調整に入ったことが3日、関係者への取材で分かった。案里氏も同法違反容疑で立件する方針を固めたもようだ。
国会議員には国会開会中の不逮捕特権があり、検察当局は国会への逮捕許諾請求を視野に入れる一方で、在宅起訴も選択肢に入れて立件時期を慎重に検討してきた。政府・与党は17日までの今国会の会期を延長しない方針で、残りの会期では新型コロナウイルス対策の2020年度第2次補正予算案の審議が見込まれている。今後の窮屈な国会日程も念頭に、閉会を待って立件すると判断したとみられる。
関係者によると、克行氏は案里氏の立候補が決まった昨年3月以降、選挙区となる広島県内の県議や市議、首長をはじめ、後援会組織を束ねる幹部ら計数十人にそれぞれ数万~数十万円を渡した疑いがある。案里氏が現職2人に挑む激戦が見込まれる中、検察当局は票の取りまとめや支援拡大を図る趣旨で現金を配ったとみている。
さらに、公選法が原則無報酬と定める陣営関係者に対しても、複数人に数十万円を渡すなどした疑いがある。被買収者は100人近くとなり、買収額は2千万円を超える見通しという。検察当局は、案里氏も一部の議員らに現金を配ったとの見方を強めており、立件方針を固めたとみられる。
案里氏を巡っては、陣営が車上運動員に法定上限を超える報酬を払ったとされる公選法違反事件で秘書らが起訴されている。関係者によると、この事件で広島地検が今年1月に夫妻の自宅を家宅捜索した際、現金の配布先とみられる100人以上のリストを押収。検察当局はこのリストなどを基に議員や首長らの聴取を進めてきた。夫妻に対しても複数回の任意聴取をしており、夫妻は買収行為を否定しているという。
中国新聞社
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