昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪で起訴された前法相の衆院議員、河井克行被告(57)=広島3区=と、妻の参院議員、案里被告(46)=広島選挙区=の後任選びに注目が集まっている。広島は次期自民党総裁選に意欲を見せる岸田文雄政調会長の地元で、岸田氏が後任の人選を主導し、党内を調整できるかが焦点となる。 「できるだけ透明度が高く、幅広い関係者がかかわる形で候補者を選んでいくことが大事だ」。岸田氏は13日の記者会見で、自民党を離れた河井夫妻の後任選びについてこう強調した。21日昼に東京都内で石破茂元幹事長、石原伸晃元幹事長、中谷元(げん)元防衛相と会食した際も夫妻と広島の情勢が話題になったという。 自民党広島県連には岸田氏率いる岸田派(宏池会)のメンバーが数多く所属するが、衆院広島3区は岸田氏と距離を置く克行氏が当選を重ねてきた。また、昨夏の参院選の広島選挙区では、岸田派の溝手顕正元国家公安委員長が案里氏らに敗れ、議席を失っており、岸田派内には次の選挙は双方とも自前の候補者を擁立すべきだとの声が根強い。 特に安倍晋三首相が早期の衆院解散を決断する場合に備え、広島3区の後継選びは急務となっている。とはいえ、現職議員が逮捕された衝撃は大きく、岸田氏が派閥の会合で「自民党や広島、政治の信頼回復のためにはよほど努力しなければならない」と危機感をあらわにするなど人選は容易ではなさそうだ。 こうした中、岸田派が神経をとがらせているのが、次の党役員人事などをめぐってしのぎを削る二階派(志帥会)の動向だ。地元紙の中国新聞が先日、二階派を率いる二階俊博幹事長が前回衆院選で落選した日本維新の会出身の元山口県和木町議の女性を広島3区に擁立するのではとの情報が駆け巡った、と報じた際には岸田派に波紋が広がった。 同派ベテランは「宏池会の牙城に頭越しで切り込んでくるようなことがあれば全面的な戦いになる」と述べ、二階派の動きに警戒を強めている。(永原慎吾)
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