河井克行法相(56)=衆院広島3区=は31日、妻の案里参院議員(46)=参院広島選挙区=が7月の参院選で運動員に法定の上限額を超える報酬を渡していたとされる公職選挙法疑惑を週刊誌で報じられたことを受け、安倍晋三首相に辞表を提出した。
9月に発足した第4次安倍再改造内閣では、菅原一秀前経済産業相が今月25日、地元有権者の通夜で公設秘書が香典を渡した問題を受けて辞任したばかり。相次ぐ閣僚の不祥事による辞任で、政権は厳しい局面に立たされそうだ。平成24年の第2次安倍政権発足後、閣僚の辞任は10人目。
10月31日発売の週刊文春によると、参院選で案里氏陣営がウグイス嬢に法定の上限を超える日当3万円を支払っていたと報じた。
公選法では、ウグイス嬢や手話通訳者への日当報酬は1万5千円を上限としている。過去には、ウグイス嬢など運動員に対して上限を超えた報酬の支払いで、捜査当局が候補者や事務所の選対責任者を公選法違反容疑で逮捕・書類送検したケースも多数ある。候補者本人が直接関わっていない場合でも「連座制」が適用され、当選が無効になることがある。
週刊文春は「選対関係者」とされる人物の発言を引用する形で、河井氏が「選対を実質的に取り仕切っていた」としている。
野党は政府・与党に対して攻勢を強めており、河井氏は政権や国会審議への影響を考慮し、早期の辞任に踏み切ったとみられる。野党は相次ぐ閣僚の辞任について首相の任命責任を厳しく追及する方針で、国会で激しい与野党の攻防が繰り広げられる見通しだ。
河井氏は平成8年衆院選で初当選し、当選7回。法務副大臣や党総裁外交特別補佐などを経て、9月の内閣改造で初入閣した。
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