佐賀県を襲った8月の記録的大雨から2カ月を迎えた28日、鉄工所から流出した油混じりの水に漬かった同県大町町福母の農地で土壌調査が始まった。県と町が土を採取し、民間の専門機関に分析を委託。約1カ月後に判明する油の含有量などを踏まえ、農業再開に向けて対応を検討する。
調査の対象は一時冠水した順天堂病院の周囲で、水稲や大豆が栽培されていた152区画の農地26ヘクタール。
県農業試験研究センターなどの職員30人が各区画2カ所で、稲わらを取り除いた表土をシャベルで掘り起こし、5立方センチのサイコロ状にカッターナイフで切り取って持ち帰った。分析結果を踏まえ、追加調査の必要性も検討する。
センターの横尾浩明所長は「土壌の入れ替えが必要か、油の分解を早める消石灰などの散布で済むのか。土壌に含まれる油の量で今後の対応が変わる」と話した。
地元の農家鵜池智恵子さん(64)は「とにかく早く土壌調査の結果が知りたいのに1カ月も待つのはつらい。来年田植えができるのか、先行きが見通せない」と話す。復旧が長引けば、農業以外の一時的な収入源を探す必要も出てくるという。(河野潤一郎、星野楽)
西日本新聞社
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