法哲学者が読み解く最高裁トイレ制限訴訟判決 狭さと深さにある意義

憲法季評」 松尾陽・名古屋大学教授(法哲学)

 「女性」を自認する「(元)男性」が女性トイレに入ることができるのか。最近、「トランスジェンダー」をめぐって、この問題についての議論がメディアやネットで繰り広げられている。「トイレ問題だけに代表させるな」という声もある。しかし、具体的な問題の中にこそ、大事な価値が議論されることもある。

 7月11日、まさにこの問題を取り上げる最高裁判決が下された。経済産業省に勤める、戸籍上は男性だが女性を自認する職員が女性トイレの使用を求めたところ、最終的に、勤務している階とその上下の階の女性トイレの使用を認めないという判定を人事院が下した。この人事院の措置について、最高裁は、著しく妥当性を欠くとして違法だと判断した。

 制度上も慣習上も、社会では…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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