2017年に大阪市で起きた強盗致傷事件を巡り、指示役として起訴された伊藤仁被告(51)のやり直しの裁判員裁判が7日、大阪地裁で始まった。被告は、19年の裁判員裁判では無罪判決を受けたが、20年に大阪高裁が破棄し、地裁に差し戻した。被告はこの日の公判で「自分は一つも関与していない」と述べ、改めて無罪を主張した。
一、二審判決で評価が分かれたのは、共犯とされる男=同罪で有罪判決が確定=の運転手の証言。今回の裁判員裁判では、やり直し前の一審で行われた証人尋問や被告人質問の映像が流される予定。改めて選ばれた裁判員らが、この運転手の証言内容を信用できるかなどを審理する。
一、二審判決によると、事件は17年4月、同市中央区で発生。被告は、現金約7千万円を運んでいた男性2人に催涙スプレーを噴射するなどして襲撃し、現金を奪うよう、共犯とされる男を通じて実行犯3人に指示したとして起訴された。公判では、共謀が成立するかどうかが争点となった。
運転手は、捜査段階の検察の取り調べに「(共犯とされる男が)催涙スプレーを被告が送ってくれると言っていた」と供述。検察側は、それ以外にも被告の関与を推認させる間接証拠があると主張した。
だが、運転手は一審の証人尋問では「(共犯とされる男に)宅配物を渡したら中身は催涙スプレーだと言っていた」と証言。一審判決は、こうした証言内容を重視し「催涙スプレーの送り主が被告であるとの根拠は乏しい」などと判断し、被告に無罪を言い渡した。
一方、二審判決は、運転手の証人尋問について「被告の面前で、被告に不利な供述をするのがためらわれる心境にあった」とし、捜査段階の供述の方が信用できると判断。運転手の供述調書を証拠として採用しなかった一審には「訴訟手続きの法令違反がある」として無罪判決を破棄し、審理を差し戻した。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment