■沖縄季評 山本章子・琉球大学准教授
「沖縄の人は酒好き」といわれる。国税庁の統計などによると、沖縄県民の酒の消費量は東京都とトップを争い、1人あたり年間約97リットルだ。また「沖縄の人は酒が強い」ともいわれる。バイオ企業ユーグレナの調査によれば、沖縄県は酒に強い遺伝子タイプの人の割合が高く、全国で第2位(1位は青森県)。どちらの通説も正しいようだ。
やまもと・あきこ
1979年生まれ。琉球大学准教授。専攻は国際政治史。「日米地位協定」で石橋湛山賞を受賞した。
酒が好きで強い沖縄人として有名だったのが沖縄県知事、参議院議員を歴任した大田昌秀氏。2017年に92歳で亡くなるまで、ウイスキーのシーバスリーガルを毎晩飲んでいたといわれる。その味を覚えたのは沖縄が米軍占領統治下にあった時代、早稲田大学への「留学」をへて米国に留学した29歳の頃だそうだ。シーバスリーガルは米製ではなくスコットランドのウイスキーだが、当時のアイゼンハワー米大統領も愛飲していたほど米国で人気があった。
沖縄の酒といえば泡盛だが、大田氏はシーバスリーガルしか飲まなかった。これをとがめたのが大田氏の3代後の沖縄県知事となった翁長雄志氏で、沖縄県議のとき議会で当時の大田知事を舌鋒(ぜっぽう)鋭く非難している。
「知事という職業は、地場産…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル