NHKのドキュメンタリー番組「72時間」で、「川崎市子ども夢パーク」(高津区)に密着した回が、視聴者人気投票で昨年の1位に輝いた。最新の遊具も「映(ば)える」キャラクターもいない、ひたすら素朴な空間の何が視聴者の心に響いたのだろう。
川崎市では2001年、「安心して生きる権利」「ありのままの自分でいる権利」「自分で決める権利」など子どもたちの権利を保障する「子どもの権利条例」を全国に先駆けて施行。「子ども夢パーク」、通称「ゆめパ」は条例を形にするため、03年7月に約1万平方メートルの市有地に設置された多目的の社会教育施設だ。
施設内には、季節に関係なく泥んこになれる屋外スペースのほか、学校に通わない子どもたちの「フリースペースえん」、いつでも寝転がれる部屋「ごろり」などがある。
NHK「ドキュメント72時間」で1位
NHKの「ドキュメント72時間」は、高速バス乗り場や閉館間際の遊園地などで3日間密着取材する番組。「ゆめパ」に密着した「“どろんこパーク” 雨を走る子どもたち」は昨年9月に放送された。泥まみれになったり木登りしたり、園内で子どもたちが自由に過ごす様子がオンエアされ、年末恒例の「視聴者人気投票ランキング」では1位に輝いた。
そして視聴者から多くの声が寄せられたという。「このような施設を、学校制度を補完する位置づけにするべきではないか」「子どもの無邪気な姿を通して、社会の側が問われていると感じた」「子どもたちの内面が変わっていくのが分かり、自由な遊びには心を解きほぐす力もあると痛感させられた」
ゆめパを運営する認定NPO法人たまりば理事長の西野博之さん(62)は「まさか1位とは。奇跡です」と喜びつつ、首をかしげた。「でも、どろんこで遊ぶ子どもたちとか学校外で学び成長する光景に、あれほどの反応があったのはなぜだろうね」
不動の学校神話 コロナ禍で変化
西野さんは「子どもの権利条…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル