能登半島の先端部にある石川県珠洲市。市によると、今回の地震で死者は20人を超え、津波も発生したとされる地域だ。
市役所から南西に約4キロ。観光名所の「見附島」にほど近い宝立町(ほうりゅうまち)鵜飼(うかい)地区では2日、道路に小さな船が乗り上げ、周辺の民家が数十センチほど水につかっていた。津波で川の流れが逆流し、河口付近に押し寄せたとみられる。潮とヘドロが入り交じったにおいが、まちに漂っていた。
この地区に住む鹿野泰弘さん(50)は1日、自宅にいる時に地震に襲われた。「最初は震度4、5の揺れかと思っていたら、まもなく縦揺れが来た」。別室にいた母親(79)に「外出て!」と叫び、外に出てまもなく家が崩れた。
2階建ての自宅には津波が押し寄せ、水は床上に達した。コンクリート造りの玄関と廊下を残し、木造の居間などが屋根に押しつぶされ、「ギリギリで避難が間に合った」と振り返る。
歩いて15分ほどの高台にある廃校跡に向かい、1日の夜はテントを張り、たき火をしてしのいだという。「復興までどれぐらいかかるか。不安しかないです」
周辺の道路には海藻が落ち、泥が海の底のように波打っていた。津波に押し流されたとみられる自動車が、道に泥をかぶった状態で放置されていた。自宅の様子を見に来たという女性は「津波が家の中まで入ってきたようだった。大切にしていたカメラなど、何もかも流された」と話した。
被害の全容、見通せず
海沿いに住宅が立ち並ぶ正院…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル