津波に襲われた「あの夜」を疑似体験 気仙沼の伝承館が初の夜間開館

山浦正敬

 東日本大震災から13年となる3月11日の前夜(10日)、宮城県気仙沼市階上地区の震災遺構・伝承館が特別開館される。被災した気仙沼向洋高校の旧校舎を使った施設で、5年前にオープンしてから初めての夜間開館となる。津波に襲われて漆黒の闇となった「あの日の夜」を疑似体験してもらうことで防災意識を高めてもらいたいとする。

 4階建ての旧校舎は最上階の床上まで津波に襲われた。校内にいた職員ら約45人は屋上にあがって助かった。ただ、繰り返し襲ってくる津波に逃げられず、住宅ごと校舎まで流されてきた女性2人を声をかけながら励まし続けた。ほかの棟に避難していた住民らと翌朝に脱出した。

 伝承館の周囲は今、パークゴルフ場や水産加工場があるだけで、住宅がないため夜は闇に包まれる。

 夜間特別開館は通常の営業時間(午前9時半~午後5時)の後、午後6時~9時(最終入館は午後8時半)。担当者は「真っ暗な夜に校舎に避難した人らの気持ちを想像することで防災意識を養って欲しい」と話している。

 ほぼ同じ時間帯、施設中庭でイルミネーションを点灯し、これまでの支援への感謝や能登半島地震の被災地へのメッセージを示す。

 伝承館は3月、ほかにも「メモリアルイベント」を企画する。館内では「けせんぬま伝承・防災 文化祭2024」として、市内の小中校生らが学校の授業などでまとめた防災・減災・伝承にまつわる発表資料などを展示する。10、11の両日は、中高生らが語り部となって来場者を無料で案内する「みんな語り部」が企画される。

 3月の休館は4、18、25の各日。問い合わせは同館(電話0226・28・9671)へ。(山浦正敬)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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