星乃勇介
2月に最大震度6強を観測した福島県沖地震で、宮城、福島両県で、津波の恐れを抱かなかった人が4割にのぼったことが、東京の民間調査会社「サーベイリサーチセンター」の調べでわかった。「来ないだろう」と楽観した人も約1割いた。
調査は東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授が監修・協力。両県在住で、地震発生時に両県内にいた20歳以上の500人ずつに2月下旬、ネットで聞いた。
「今回の地震の最中や直後に津波のことを考えたか」という質問には、全体の57・0%が「来るかもしれないと思った」と回答した。一方、「来ないだろうと思った」が8・7%で、「ほとんど考えなかった」も34・3%いた。
また、発生当時は9割が自宅にいたが、揺れた最中の行動として「家具や壊れ物を押さえた」という人が4人に1人おり、固定していない家の多さをうかがわせた。実際の被害でも「高いところのものが落ちた」という人が過半数、「タンスや本棚が倒れた」という人が2割いた。
震災の記憶や経験を子どもに話すことがあるかについては「よく話す」「たまに話す」が多かったが、「ほとんど話さない」という親も3割超いた。
また、岩手・宮城・福島の3県で、震災当時5~15歳だった若者300人に3・11の記憶や経験を話す頻度について尋ねたところ、「覚えていることはあるが、ほとんど話さない」「覚えていることがほとんどない」という回答が併せて半数近くを占め、世代を越えて教訓が伝承できていないことが浮き彫りになった。
同社の担当者は「10年前に比べて揺れや被害がたまたま小さかっただけ。自分の身を守る行動が浸透していない」との見方を示した。監修・協力した佐藤准教授は「住まいが内陸でも、旅行や仕事で海沿いに出かけることはある。地震が起きたら津波が来るかもしれないという危機意識は常に持っておいてほしい」と話している。(星乃勇介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル