阪田隼人
津波が予想される際に水門を閉めに行くべきかどうか――。操作員の安全確保を図る規則や判断基準を作っていない自治体が多いとして、総務省四国行政評価支局は11月30日、改善を促す通知を四国地方整備局に出した。東日本大震災では、水門を閉めようと現場に向かった操作員が相次いで犠牲になったことから、規則の策定が義務化されたが、一部で守られていない実態が明らかになった。
2014年に改正された海岸法では、管理者である自治体は、操作員の安全確保に配慮した操作規則の策定が義務づけられた。国の水門管理のガイドラインも改定され、各施設や操作員ごとの移動や操作にかかる時間を設定するなどして判断基準を作り、実際の津波到達予想時間までに余裕を持って退避できることが、操作する条件とされた。
ただ、法改正以降、実際の運用状況は不明だった。四国行政評価支局が今年度、水門や堤防の切れ目にある陸閘(りくこう)を管理する四国の自治体と、実際に操作する消防団や自治会、企業などに実態を調査した。
その結果、操作規則の策定が義務づけられている19自治体(2663基)のうち、未策定(一部未策定含む)は8自治体(612基)。判断基準を設けていないのは、8自治体を含めた17自治体(1916基)あった。自治体担当者の認識不足や人員不足が主な理由とされた。
支局の担当者は「操作員の中には、自らの危険を冒してでも現場に向かうべきかどうか悩む人もいる。東日本大震災を教訓として、明確なルールを作らなければ、いざという時に使命感の強い操作員が犠牲になってしまう」と話した。(阪田隼人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル