海辺の住宅地に津波避難タワーが続々とできている。三重県沿岸では2011年の東日本大震災前に1基だったが、34基まで増えた。県はさらに設置を促すため新たな補助制度も設ける。自治体にとっては完成後の「活用」も課題だ。
太平洋に面した三重県志摩市大王町の畔名。海岸から約100メートル足らずの住宅地に避難タワーの建設が進む。高さ10メートル。最上部の広さは50平方メートルで、36人が避難できる。近くに住む80代の女性は「地震が起きたときは、遠くまで逃げんでもええようになるんか」と話す。
市内では志摩町和具でも約290人が避難できるタワーが間もなくできる。建設費は2基合わせて3億2千万円。
震災後、市内で新基準に基づいた避難タワーは浜島町で14年に1基できただけだったが、今年度以降、急ピッチで建設が進む。今年度が2基、23年度は3基、24年度は1基、25年度は3基と計10基になる。
県がまとめた南海トラフ地震の被害想定に基づく市の防災計画によると、志摩市には地震発生後20分以内に最大10メートル以上の津波が襲い、死者数は約7700人に上るとされる。ほか建物の倒壊による死者数は約1千人。
近くに高台などがない住宅地の住民にとって、すぐ逃げられる場所がタワーになる。「特定避難困難地域」と呼ばれ、約1900人がおり、タワー10基と避難路の改修で解消できるという。橋爪政吉市長は「安心して暮らし続けられる地域をつくるため、想定される被害を少しでも減らす防災対策は市政の最重要課題」と話す。
ただ難点は費用だ。今後の建設で10億円以上かかると見込まれている。
県防災企画・地域支援課によ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル