活断層の真上にアリーナ? 検証せず着工、被害想定は

 佐賀県が建設中の大型公共施設が、政府の機関が作った活断層を示す地図上で活断層のほぼ真上に位置していることが、関係者への取材でわかった。県は、この活断層が動いた場合の大規模な被害想定も出していたが、建設にあたっては検証していなかった。専門家からは調査の必要性を指摘する声も上がっている。

 県が建設しているのは、4階建て約8400席の「SAGAアリーナ」。JR佐賀駅の北約1キロに位置し、総工費は257億円。2020年に本格着工し、23年の完成予定で現在は基礎工事が進む。翌24年に開催する国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会のメイン施設となり、コンサートやイベントでの利用も想定。さらに防災拠点としても活用する。

 県内では、佐賀平野を東西に約38キロにわたってのびる活断層「佐賀平野北縁断層帯」の存在が指摘されている。政府の地震調査研究推進本部が13年、推定でマグニチュード7・5程度の地震が起きる恐れがあると評価した。評価にかかわった複数の専門家によると、アリーナの建設場所は、活断層を示した地図で活断層のほぼ真上に位置している。

 この活断層について、県は13~14年度、専門家や関係省庁などによる委員会を設け、大地震が起きた場合の震度を7と予測。最悪のケースとして県内で建物の全壊・焼失が5万8千棟、死者は4300人、負傷者は1万6千人と想定した。

 アリーナの整備構想は16年に持ち上がり、県は専門家やスポーツ団体代表らによる委員会で、建設場所や規模などを話し合った。候補地は、現在の場所から東へ20キロほど離れた鳥栖市や、北へ5キロほどの長崎自動車道付近も挙がったが、陸上競技場などの体育施設が集まる現在の場所を活用することで意見が一致。県は基礎工事の参考として事前に地質を調べたが、活断層の存在は調べていなかった。県庁内で、活断層についての指摘もなかったという。

 山口祥義知事はアリーナを「九州の中心に位置し、アジアとも近い佐賀県だからこそ生きたものになる。佐賀躍動の象徴だ」などと主張。昨年6月には安全祈願祭を開いた。

 県SAGAサンライズパーク整備推進課の山口俊裕技術監は取材に対し、「近くに活断層があるとは認識していたが、直下ではないという判断だった。今にも動き出しそうな活断層であれば、詳細を検討したと思う」と説明。建設中のアリーナについて、「震度6強から7の地震にも耐えられる設計で倒壊する恐れはない」と話す。

 専門家によると、佐賀平野北縁…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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