流行語大賞の「地球沸騰化」、受賞スピーチはサバ養殖者 訴えたのは

佐藤常敬

 今年の世相を反映した言葉を選ぶ「2023ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が1日発表され、福井県小浜市でブランド魚「小浜よっぱらいサバ」を養殖する田烏水産の横山拓也さん(55)が、トップ10入りした「地球沸騰化」で、代表者として受賞した。スピーチで、海水温の異変を訴え、温暖化よりも深刻な気温上昇を警告した。

 「地球沸騰化」は国連のグテーレス事務総長の言葉だ。グテーレス氏は、今年6~8月の世界の平均気温が過去最高を更新したことを受け、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と警告し、各国に温室効果ガス削減の具体的な行動を求めた。

 横山さんは、酒かす入りの餌をサバに与えることから名付けられた「よっぱらいサバ」の養殖を若狭湾で19年から本格的に始めた。だが、近年は海水温上昇などが影響し大量死が相次いだ。今夏はいけすの海水温が最高31度に達し、3千匹のサバが死んだ。

 スピーチで横山さんは「海水温がここ4~5年、毎年上昇し、今年はほとんどぬるま湯のような状況で、手を尽くして魚たちを生かそうとしたが、死なせてしまう悲しい状況を経験した」と話した。

 そんな現状を横山さんはSNSやメディアなどを通して情報発信したことで注目され、「地球沸騰化」と向き合う生産者の代表として今回選ばれたそうだ。

 横山さんは「沸騰という表現がふさわしいほどの地球温暖化の中で、私よりはるかに厳しい状況で苦しい闘いを続けている1次産業の生産者はたくさんいる」と述べ、「地球の環境を一気に元に戻すのは、不可能だと思うが、私たちが今から取り組んでいくことは、決して無駄には終わらない」と訴えた。(佐藤常敬)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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