浅漬け食中毒で8人死亡 規制強化のきっかけ、元社長が語ったこと

【動画】食中毒事件を起こした漬物工場の跡地

 10年前、8人が亡くなるという大規模な食中毒の原因となった浅漬けを作ったのは、札幌市にあった食品会社だった。

 5月、その所在地を訪ねると、食品工場は見当たらず、あるのはマンションなど住宅だけだ。場所を間違えたのか――。近所の男性に聞いてみると、「もうここにはないよ」。

 男性は続けた。「○○さん(食品会社幹部)とは仲がよかったんだけどね。事件の時には、ここら辺はマスコミだらけだった。その後、会社の社長もみんなどこかに行ってしまった」という。

 この食品会社は食中毒を起こした翌2013年に倒産していた。しかし、当時の社長とどうしても話がしたい。住んでいる場所を何とか探し出した。

 一軒家で、表札は元社長の名字のものだ。追い返されるかもしれない。そう思いながらインターホンを鳴らした。すると、無精ひげをはやした高齢の男性が玄関を開けた。

 「社長ですか? 朝日新聞の記者です」と話しかけると驚いた表情で「もう話すことなんか何もないよ」とドアを閉めようとした。

 それでも取材の意図を説明して説得を続けると、「まあ入んなよ」と家の中に入れてくれた。

 「散らかっているから」と居間のソファに横並びに座った。開口一番、「会社がつぶれ、俺は丸裸だよ」と言う。

 まず、元社長が漬物の製造販売を始めたいきさつを聞いた。

 1960年代に20代で脱サラし、「ひともうけしよう」と漬物の製造販売会社を立ち上げたという。

 作っていたのは当初から浅漬…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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