警察庁が公開した68万件の人身事故データを独自に分析すると、信号機がないような小さな交差点でも、その都道府県でトップクラスの事故多発地点となっている場所が各地にあることがわかりました。警察がまとめる統計に姿を見せない「みえない交差点」。その実態に連載で迫ります。
独自の分析方法
警察庁は2020年から、全国で発生した人身事故のデータを「全国交通事故統計情報のオープンデータ」として同庁のホームページで公開しています。現在公開されているのは19年と20年の2年分で、計約68万件。事故ごとに、発生した日時や当事者の年代、天気、直線・カーブ・交差点といった道路の形状など、58項目にわたる情報が含まれています。
今回、取材班は埼玉大大学院の久保田尚教授(交通工学)監修のもとで、オープンデータを自動解析するプログラムを作って独自に分析しました。事故が多発している全国の交差点を洗い出す取り組みです。
オープンデータの中で取材班が注目したのは、発生場所の位置情報として記録されている「緯度」と「経度」でした。
まず、68万件の中から交差点で発生した事故を抽出。次に、ひとつの事故の発生地点から半径10メートル以内に別の事故が発生していれば、それを同じ交差点で発生した事故としてグループ化していきました。
二つ目の地点から半径10メートル以内、三つ目の地点があればさらにそこから……と繰り返し、新たな地点がなくなるまでこの作業を繰り返すことで、狭い地域に事故が集中して起きている交差点を見つけることができると考えました。
また、警察庁のオープンデータでは、道幅によって道路の規模を3つに分類しています。13メートル以上が「大」、5・5メートル以上13メートル未満が「中」、5・5メートル未満が「小」。取材班は、交差点で発生した事故のうち、多くは信号機があると考えられる「大」の道路が交わる交差点を分析対象から除き、「中」と「小」のいずれかの道路が交わる交差点に絞りました。
その上で、警察などが公表している人身事故多発ワーストランキングに登場する交差点の事故件数を参考に、年間6件以上の人身事故が起こっている場所を抽出。その結果、19都道府県、計78カ所の事故多発交差点が浮かび上がりました。
年間6件以上の事故が起きていた78カ所の「みえない交差点」
全国68万件の交通事故マップ
人身事故が起きた全国68万件分の地点を日本地図に置き、あなたの近くに潜む危険な場所を可視化しました。各地の小さな交差点で交通事故が多発していることも明らかに。
北海道江別市大麻463付近…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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