北海道の利尻島で活動するボランティアグループ「利尻わん・にゃんクラブ」(利尻町、安達雅枝代表)が、野良猫の保護活動への支援をネットで呼びかけている。「島ネコ」たちの不幸な死をなくすには避妊去勢手術が必要だが、獣医師がいない離島ならではの保護活動の難しさがある。
民宿を営む安達さん(46)が野良猫の保護活動に関わるきっかけとなったのは、4年前の自宅の引っ越しだ。高齢だった前の家主が餌をやっていた野良猫4匹が毎日ベランダの窓をたたき、根負けして餌をあげるようになった。そのうちに、メス猫たちが次々妊娠していった。
4匹かかえて350キロ先の病院へ
島に動物病院はない。島外の動物病院に避妊去勢手術ができないかと問い合わせると、「一度に4匹の手術は無理」「ワクチン未接種の野良猫の手術はできない」と断られた。
札幌市の動物病院に片っ端から電話をかけ、手術を受け入れてくれる病院を確保。2時間かけてフェリーで稚内に渡り、約350キロ離れた札幌まで夫が車を運転した。
途中で1匹が出産を始め、車の中で4匹の赤ちゃんが生まれた。動物病院に着いたのは夜中の2時。車中で朝まで過ごし、3匹の避妊手術ができた。安達さんは「ギリギリ出産した猫と避妊を済ませた猫。どちらが猫にとって幸せな選択だったのか、複雑な気持ちだった」という。
厄介者、山に埋められることも
島では高齢者らが野良猫を可愛がり、餌やりをしている。一方で、干し魚を食べたり、畑に糞尿(ふんにょう)をしたりする厄介者でもあり、生まれた子猫を海辺や山に捨てたりするケースが後を絶たない。飼い猫もいるが、大半が野良猫出身で外飼いが多い。妊娠は自然任せで、飼っている猫が増えすぎて手に負えなくなる人もいる。
利尻島のこうした問題を知り、保護猫団体と野良猫専門に不妊去勢手術を施す獣医師が島を訪問。安達さんが相談したところ、手術場所を提供することなどを条件に、保護猫が30~40匹集まれば臨時動物病院を開設してもらえることになった。
2年前、民宿の隣の空き家2…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル