男性の働き手が多い水産仲卸業界で奮闘する女性経営者がいる。宇都宮市の苅込陽加(かりこみはるか)さん(26)だ。水産仲卸業の家に生まれたが、業界入りは親に反対された。フランスのファッション会社への就職も決まっていた。なぜ挑戦したのか。
2月中旬、月1回の「うんめ~べ朝市」でにぎわう宇都宮市中央卸売市場。水産卸売会社が並ぶ一角で、「苅込」取締役の苅込さんが、7、8人の客に見つめられながらブリをさばいていた。「職人さんから少しずつ教わってきた。普段はしないが、イベントだったのでさばいた。上手ではないけれど、切り身にするぐらいならできる」と笑う。
苅込さんは、幼いころから市場に慣れ親しんできた。「毎朝連れてこられ、みんなにかわいがってもらった。もちろん毎日魚を食べていた」。この春に大学に進む弟と2人きょうだい。2018年に亡くなった祖父の弘さんから「社長になるんだぞ」と言われて育った。
だが、家業を継ぐとは思っていなかった。高校時代、経営学に興味を持った。約1週間訪れたベトナムで働く機会に恵まれない人たちの存在を知り、経営者になりたいと思ったからだ。台湾に留学して中国語を学び、もっと世界を見てみたいとも考えた。大学在学中に欧州に留学し、ワインで有名なフランス・ボルドーなどで伝統や文化を大切にしながら商品の価値をどう高めていくかというブランディングの勉強をした。卒業後はフランスのファッション会社でマーケティングの仕事に携わるつもりでいた。
転機は新型コロナウイルスの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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