特殊詐欺のだましの電話に、「+」で始まる国際電話番号が使われるケースが急増している。警察庁のまとめでは8月は1千件、9月は2千件を超えた。固定電話やインターネット電話の規制強化を受け、詐欺グループが国際電話を装う手口に移っているとみられる。
警察庁は国際電話番号の電話に出ない対策が有効だとして、番号表示機能や海外からの番号を受けないサービスの活用を呼びかけている。国際電話不取扱受付センター(0120・210・364)に申し込めば無料で止められる。
国際電話は「+」のあとに国を表す番号がつく。警察庁によると、特殊詐欺に使われた電話の種類では「+」で始まる電話は昨年1~7月は月に数件だったが、その後に増加。今年5月に106件となり、6月201件、7月969件と急増し、以降も増えている。
9月は2192件で、このうち米国・カナダの番号が6割にあたる1402件で、マレーシアの180件、英国の57件が続いた。その他にドイツやポーランド、インドなど国は多岐にわたる。
警察庁は、詐欺グループが実際に海外から電話をかけているのではなく、国際電話の番号に変えられるスマートフォンのアプリを使い、国内などから電話しているとみている。さまざまな国番号を自由に選べるアプリもあり、同じ端末からその都度異なる番号でかけられるという。
警察は2019年から、特殊詐欺に使われた固定電話の番号の利用停止を、通信事業者に要請する取り組みを始めた。ネットを利用した「050」から始まるIP電話については、今年6月に利用時の本人確認の義務化が決まり、来春から実施される。
こうした対策の結果、固定電話番号が使われた件数は、昨夏の月1千件ほどから今年9月は402件に減少。IP電話も月2千件前後だった今年の夏前に比べ、9月は1277件に減少した。代わって海外の番号からが増えたとみられる。
警察庁幹部は「利用時の本人確認がほとんどないアプリで、国際電話番号を簡単に入手できるのが実情だ」と指摘する。(板倉大地)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル