東証プライム上場の大手プラントメーカー・日立造船(大阪市)の男性社員(当時27)が2021年に自殺したのは「海外出張の業務による心理的負担で精神障害を発症したことが原因」として、大阪南労働基準監督署が労災認定したことがわかった。遺族側が25日、記者会見して明らかにした。
労災認定されたのは北陸地方出身の上田優貴さん。18年に入社し、プラント施設の電気設計業務などを担当後、タイのごみ焼却発電施設の立ち上げ事業のため、21年1月から同国に出張。同年4月、高さ約30メートルの建屋から転落し、死亡した。
労基署は、上田さんは初の海外出張で、経験のない業務を命じられた上、上司からミスに対する叱責(しっせき)を受けたと指摘。「強い心理的負荷があり、精神障害を発症したことによって自殺に至った」と認めたという。労災認定は今月4日付。
遺族側代理人の岩城穣弁護士は会見で「海外勤務は環境や言語が国内とは異なり、より精神的な負担が大きくなる。グローバル化が進む中で、企業は社員への細心のフォローが必要だ」と述べた。母の直美さんは「今でも息子が帰ってくるのではと待っている自分がいる。会社には従業員一人ひとりに大切に思う家族がいることを考えてほしい」と訴えた。
日立造船は「故人に対し改めてご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族の皆さまに謹んでお悔やみを申し上げます。二度と起こらないよう、再発防止に向けた取り組みを進めていく所存です」とのコメントを出した。(山本逸生)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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