環境先進都市・大阪の実現を-。プラスチックごみによる海洋汚染が世界で深刻化する中、29日に最終日を迎えた、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、2050年までに海洋プラごみによる新たな汚染をゼロとする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が宣言された。2025年大阪・関西万博に向け、大阪ではプラごみ削減に向けた官民の取り組みが進んでいるが、G20をきっかけに加速しそうだ。
■紙皿や木製ストロー
紙皿や木製ストローの提供が徹底されるなど、環境に配慮した運営が行われた今回のサミット。29日午前には大阪府庁で各国首脳の配偶者を対象に、海洋汚染問題を考えるシンポジウムが開かれ、関西の小中高校生と大学生が参加し、海でのごみ拾い活動など地道な取り組みが披露された。
出席した吉村洋文府知事によると、トルコの大統領夫人からは「トルコでは無償のレジ袋は禁止している」と先進的な事例が紹介され、南アフリカの大統領夫人は「世界共通の課題と認識できていなかった」と驚いた様子だったという。
吉村知事は「自国だけでなく、世界で対応しようという意識が共有できたことは子供たちにも大きな影響を与える」と評価した。
■海底にレジ袋300万枚
「大阪湾にレジ袋300万枚、ビニール片610万枚が沈んでいる」
今年3月、関西広域連合の調査により、衝撃的なデータが明らかになった。関西国際空港北側の大阪湾の海底約0・08平方キロメートルを底引き網でさらったところ、魚介類とともにレジ袋163枚、ビニール片337枚がひっかかったという。湾全体(約1450平方キロメートル)で推計したのが、冒頭の数字だ。
環境省の平成27年度の調査でも、大阪湾の1平方キロメートル当たりの漂流ごみ(人工物)は、レジ袋やペットボトルなどのプラスチック類が8割を占めている。
大阪湾は内湾のため外洋からのごみの漂着は少ない。だが、海に流れ出たプラごみは波や紫外線で砕かれ、5ミリ以下の「マイクロプラスチック」となって世界の海に拡散。生態系への影響が懸念されている。
■ビジネスチャンスに
世界でプラごみの削減機運が高まる中、大阪府と大阪市は1月「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」を発表。万博がある2025年度までに「ペットボトルの100%資源化」「使い捨てプラスチックの25%削減」を目標に掲げる。
官民一体となった取り組みも本格化している。大阪市は飲料大手と協力し、使用済みボトルを再生ボトルの原料として、地域から買い取るシステムを秋にもスタート。買い物時のエコバッグの利用も呼びかける。
「プラスチックの代替品や海をきれいにするロボットの開発など、環境への危機感の高まりは新しいビジネスチャンスになる」と話すのは日本総研の石川智久・関西経済研究センター長。石川氏は「環境問題はG20と万博をつなぐ重要なキーワードになる」と指摘し、「G20や万博に合わせて勉強しようという地元企業が増えれば、新しい産業が生まれ、経済的にも関西が発展する可能性は十分あるだろう」と話している。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース