海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」が高知・足摺岬沖で民間の貨物船と衝突した事故で、第5管区海上保安本部(神戸市)は10日、神戸港沖に停泊している香港船籍の貨物船「オーシャン アルテミス」(5万1208トン)の船体を調べ、船首部付近の水面下の場所で、潜水艦とあたったとみられる擦過痕やへこみを確認した。擦過痕は広範囲にあり、へこみは1カ所で約20センチの亀裂が入っていたという。
衝突事故は8日午前、足摺岬の南東約50キロの沖合で起きた。貨物船は中国・青島から岡山県倉敷市の水島港に向かう途中だったが、事故を受け、9日夕から神戸港沖に停泊している。
5管によると、貨物船から調査への協力を得られたため、10日は巡視艇「はるなみ」など5隻を派遣し、潜水士が海に潜るなどして船体の損傷状況を調べた。乗組員らからも事故当時の状況を聞き取ったという。
国の運輸安全委員会も高知港に調査官を派遣し、事故を起こしたそうりゅうの調査を始めた。そうりゅうは艦体上部にある艦橋の右側が壊れ、艦橋の右舷側にある「潜舵(せんだ)」が折れ曲がっている。
一方、高知県の浜田省司知事は10日、岸信夫防衛相に対し、現場の海域ではカツオ漁船などが日常的に操業しているとして、原因究明や再発防止を求める要請書を出した。事故が漁業関係者に強い不安を与えたとし、「県民の安全、安心を守る立場として極めて遺憾だ」と訴えた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル