漫画を無料で読める海賊版サイト「漫画村」の運営者とされ、著作権法違反などの罪で起訴された無職星野路実(ろみ)被告(28)の公判が16日、福岡地裁で始まった。被害を受けた出版社は、事件をどう見るのか。集英社の伊東敦・編集総務部長代理(55)に、公判前に話を聞いた。
――漫画村をめぐる事件では被害者となりました。
「漫画村の出現は二つの面でターニングポイントになりました。一つは、多くの皆さまが海賊版対策に関心を持ってくれるきっかけになったこと。もう一つは、『海賊版なら無料で漫画が読める』とたくさんの読者が知ったこと。漫画村事件の後も、海賊版サイトは増え続けています」
――海賊版サイトの最近の傾向は。
「漫画村はサイト上で読むタイプでしたが、最近は、漫画をめくる動画を動画投稿サイトに載せる違法アップロードが急増しています。サイト側も著作権者から受け取った素材を元にサイト内から似たデータを探し、違反を見つける仕組みを設けていますが、漫画を動画に加工していることから捕捉できません。非常に悩ましい問題です」
「手口も悪質になっています。パトロールを担う業者の営業時間外を狙い、夕方アップして朝の8時に取り下げる。土日だけアップして再生回数を稼ぐ。それだけで10万回再生されてしまうこともあります。富士通総研経済研究所の調査結果では、正規版購入冊数の2割に相当する冊数が海賊版で読まれているとされています」
――海賊版がなくならない背景は何でしょうか。
「総務省が5月、15~69歳の男女約2千人に実施したウェブ調査では、ネットで漫画の閲覧経験がある866人のうち、47・5%が海賊版サイトを利用もしくは利用した可能性があると回答しました。おいしそうなメロンがなっているメロン畑があったら食べます? 100人いたら、99人は食べないと思います。でも、ネットでは半分近くが食べちゃう。創作する立場の側にいる人間としては、とても悲しいです」
「漫画家さんも憤っています。…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル