井上潜 小幡淳一 滝沢隆史
各地で観測史上最大を記録するなど大雨が続く秋田県内は、16日も冠水が幅広い地域に及び、1400人超が避難した。1人が遺体で見つかったほか、河川の氾濫(はんらん)も相次いだ。
秋田地方気象台によると、降り始めの14日正午からの16日正午までの48時間降水量は、秋田市仁別で412ミリ、藤里町で321・5ミリ、仙北市角館で308・5ミリといずれも観測史上最大を記録した。15日夜にかけて、県内を流れる12河川で氾濫が発生した。
遺体が見つかったのは五城目町。県警によると、15日夜、八郎潟町の60代男性から「車が冠水している。水の中にいる」と110番通報があった。警察と消防が捜索したが見つけられず、16日朝に捜索を再開したところ、水田で浸水した車を見つけたという。
県によると16日午後1時半時点で、住宅被害は全壊・半壊・一部損壊が秋田市などで計6棟。床上浸水は五城目町や秋田市など4市町で計354棟、床下浸水は8市町で計50棟。集計が進めば、さらに増える見込み。同時点で秋田市などで475世帯1435人が避難した。
秋田市中心部では冠水で動かなくなって車道に放置された車が目立った。同市広面地区では、16日午後になっても冠水したままの住宅街もあった。同地区の男性(91)宅は、15日午後に浸水。2階で一夜を明かした。16日朝に119番し、消防のボートで救助され、避難所にたどり着いた。「水がいつ引くのか分からない。どうすればいいのか」と話した。
秋田大学医学部付属病院(秋田市)は周囲が冠水し、救急外来と救急車による救急患者の受け入れを停止。中通総合病院(同)も浸水し、重症患者を優先して他の病院に移すため、県が自衛隊に災害救助要請をした。
今回の大雨は、梅雨が終わりに近づき梅雨前線が北上し、活発化したことでもたらされた。気象庁は、高気圧が14日から一定の勢力を保ち、気圧配置が大きく変わらなかったことから、特定の地域で大雨が続いたとみている。東北地方には暖かく湿った空気の流入が続き、17日も局地的な大雨となる可能性があるとして、土砂災害や河川の増水などに引き続き注意を呼びかけている。(井上潜、小幡淳一、滝沢隆史)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル