大阪市北区のクリニックで昨年12月、26人が犠牲になった放火殺人事件で、総務省消防庁は21日、調査結果報告書を公表した。出火場所の待合室は天井まで焼け落ちたが、被害者が倒れていた奥の廊下や診察室は焼損していなかった。消防隊が着いた出火5分後には最も奥の診察室まで、数分で死に至る一酸化炭素(CO)濃度になっていた。
事件は昨年12月17日午前10時16分、雑居ビル4階のクリニックで発生。大阪府警は今年3月、谷本盛雄容疑者(当時61)を殺人などの疑いで書類送検した(死亡のため不起訴処分)。谷本容疑者はエレベーター前にガソリンを流して火を付け、非常口にもガソリン入りの紙袋を投げて火を放ち、クリニックの出入り口2カ所を塞いだとされる。
総務省消防庁は、事件発生当日から今年1月13日まで現地調査を実施。クリニック内を撮影し、写真を報告書内で公表した。
出入り口近くにあって火が放たれた待合室では、ソファや壁は一部焼失し、天井は崩落していた。げた箱やスリッパ入れは塗装が焼けて白くなり、受付の棚は側面が焼け落ちていた。
待合室奥の扉の向こう、焼損でなく煙で
一方で、待合室の奥は焼損は確認されなかった。奥へと続く廊下の天井や、職場復帰を目指す人が集った「リワークルーム」と廊下を仕切るカーテン、診察室内はすすけていた。
待合室と廊下の間には扉があ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル