消防長宅で枯れ草火災、サイレン無しで現場へ 消火も統計に計上せず

森下友貴 猪瀬明博

 埼玉県羽生市の住宅で4年前に起きた枯れ草などが燃える火災が、火災統計に計上されていないことが分かった。現場は「羽生市消防本部」のトップ・消防長の自宅で、消防長は未計上を認識していたが、外部から指摘があるまで是正を指示していなかった。統計は火災予防を市民に喚起する「公の財産」だ。同消防本部は28日、この取り扱いを是正するため、市総務部に事故報告書を提出した。

 火災が起きたのは2019年4月6日午後。消防長の自宅の敷地で家族が枯れ草を燃やしていたところ、周囲の草木に燃え広がった。休みで在宅していた消防長は119番通報せず、加入電話で消防本部に消防車の出動を要請。サイレンを鳴らす緊急走行を控えるよう指示した。

 消防車の到着時、火はほぼ鎮火していたが、周囲に竹やぶなどがあるため、4人の署員が完全に消火した。この火災で、下草など約35平方メートルを焼失した。

 同消防本部では、19年度に改定された内規で、枯れ草などの火災は焼失面積にかかわらず「その他火災」と計上することになった。ただ、消防長の朝日新聞への説明では、現場で署員から「火災にあげない(計上しない)と思います」と告げられ、今月24日に外部から計上漏れを指摘されるまで放置していた。

 消防長は16年から現職。取材に「火災時は混乱していてしっかり計上するよう署員に指示できなかった。反省している」と答えた。

 市は今後、当時出動した署員らから聞き取りをするほか、副市長を長とする審査委員会で処分や再発防止策を検討する方針だ。(森下友貴、猪瀬明博)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment