淡路島に全国から大学生が集まり、2025年の大阪・関西万博に向け、地元企業などと地域を盛り上げる100のプロジェクトの立ち上げを進めている。万博にあわせ「裏万博」として島の魅力を伝える催しなどを開きたい考えで、観光客を呼び込むねらいがある。万博は「空飛ぶクルマ」などの先端技術が目玉になりそうだが、島では自然や歴史をアピールして差別化をはかる。
淡路島北東部の海岸近くの千年一酒造(淡路市)。純米酒や梅酒などの地酒をつくる1875年創業の酒蔵だ。万博を開く年に創業150年を迎える。最近、「日本酒を次世代に伝えるプロジェクト」と名付け、新しい情報発信を始めた。
10月上旬、上野山善彦社長(63)やコメ農家が酒造りへの思いなどを語るオンラインの催しを開いた。全国から数十人が視聴し、事前に購入した同社の酒を飲みながら話に耳を傾ける人もいた。8月にはインスタグラムのアカウントを立ち上げ、若者らにお酒の魅力を伝えている。
企画したのは、8月からインターンシップ生として働き始めた3人の大学生たちだ。蔵に住みこみで働く明治大4年の青木俊介さん(22)は「今後は英語でSNS投稿するなどして、海外にも発信したい」と意気込む。大阪経済大3年の矢野孔晴さん(22)は「情報発信を販売につなげるのが課題」と話し、ネット販売でのクレジットカード決済の整備などを考えている。
島内には50以上あったと言われる造り酒屋だが、人口減などで販売が減り、千年一を含め2軒まで減ったという。千年一は約20年前から酒蔵の2階で購入や無料の試飲ができる「観光蔵」として売り出してきたが顧客層は限られ、先行きに不安があった。上野山さんは「学生たちと出会えて、これまで考えもしなかった取り組みができている。淡路産の米や梅でお酒をつくっていることを広く伝え、若い人にも飲んでもらいたい」と話す。
千年一と学生を結びつけたのは、大正大発のベンチャー企業、次世代共創企画(淡路市)が運営する「淡路ラボ」。昨年から地元の企業や団体などと全国の大学生を結びつける説明会を定期的に開催。大阪湾を挟んだ対岸にある人工島・夢洲(ゆめしま)で開かれる万博までに、学生とコラボする100のプロジェクトを立ち上げる計画だ。観光客を呼び込むとともに、若者が働きたくなる仕事を増やすねらいがある。
企業や団体などがラボの活動費のほか、学生の宿泊・交通費を負担する。別途出る活動支援金で食費などをまかなえるため、学生の自己負担は原則ないという。すでに延べ約30人の学生がインターンシップ生として参加した。なかにはコロナ禍で海外留学に行けなくなった学生もいる。
事業の発掘は島に来たインタ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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