10月に行われた東京大と筑波大の学長選考をめぐり、教職員から選び方に対する不満が噴出した。次期学長が選ばれた後も、東大は第三者委員会に選考過程の検証をゆだね、筑波大では教員有志が「不正な選考」と反発し、火種はなお残る。両校の騒動からは、全国の国立大に共通する課題が浮かび上がる。
国立大の学長はかつて、教員の投票で選ばれていた。それが、2004年に国立大が法人化されて以降、学外の企業経営者らをふくむ「選考会議」が学長を決める仕組みになった。文部科学省は選考に外部の視点を入れ、より指導力のある人物の選出を求めた。
しかし実際には、多くの国立大で「意向投票」という名の教員投票が残り、その結果を選考会議が追認するケースが多かった。ある国立大の教授は「選考会議の学外委員は、学内の事情を把握しきれない。結果として意向投票が尊重されてきた」と説明する。
ところが今回の東大総長(学長)の選考では、意向投票に先立つ予備選で得票1位だった候補者が、意向投票の対象から外れた。「選考会議が恣意(しい)的に外したのではないか」(東大教授)との批判が多くの教員から出たが、選考会議は10月2日、来春からの次期総長に藤井輝夫副学長を選出。選考会議の小宮山宏議長(東大元総長)は会見で「藤井氏には卓越した指導力がある」と、選考の正しさを強調した。
その後、選考過程の録音データ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル