東京の主要地区で半世紀以上続いてきた二つの百貨店が、31日に営業を終了する。渋谷の東急百貨店本店と立川高島屋。街のシンボルだった店の撤退に、利用客からは惜しむ声が上がる。人々のニーズや街の変化に合わせ、百貨店のあり方も変わってきている。
東急百貨店本店は1967年11月、渋谷駅から約500メートル離れた区立小学校の跡地にオープンした。地上8階地下3階建て。高級住宅街である松濤に近く、ブランド品をそろえた。若者の街・渋谷で、顧客の中心は50~70代。「『山の手の洗練』を体現する」とも言われた。
東急グループは渋谷で大規模な再開発を進めている。12年の渋谷ヒカリエを皮切りに高層複合施設が次々と建設される一方、渋谷駅直結だった東横店は20年3月、86年の歴史に幕を閉じた。本店の閉店も21年5月に決まった。
東急百貨店によると、本店は解体され、跡地には地上36階地下4階建ての複合ビルが予定されている。27年度の完成をめざし、低層階は商業店舗、中層階は高級ホテル、高層階は高級賃貸住宅となる見通しだ。
立川市のJR立川駅前にある立川高島屋ショッピングセンターは31日、売り場の約3分の1を占める百貨店区画の営業を終える。
高島屋立川店は70年6月に開業した。駅北側の米軍立川基地が全面返還され、跡地の再開発に伴い95年、いまの場所に移転した。10年代以降、ファストファッションや書店、家具などの専門店エリアを拡大。18年の改装で、立川高島屋SCとして再出発した。
バラをあしらった伝統の包装紙や紙袋は館内から姿を消す。百貨店部分を閉める理由を、同店営業推進部の鈴木太嘉雄課長は「年々増える子育て世代の顧客層にマッチする商品を提供するため」と説明する。(丹治翔 森治文)
Bunkamuraはオーチャードホール以外は休館に
東京・渋谷の東急百貨店本店が1月31日に営業を終える。隣接する「Bunkamura」はどうなるのか。
「Bunkamura」は1989年9月に開館した大型複合文化施設だ。「オーチャードホール」や「シアターコクーン」といったコンサート、演劇の舞台のほか、美術館や映画館があり、文化・芸術の発信地としてにぎわう。
運営する東急文化村によると、東急グループによる周辺の再開発に伴い、Bunkamuraもオーチャードホールを除き、今年4月10日から2027年度中まで休館する。この間に施設の補修や設備の更新などをするとともに、「新築される施設との一体化に向けた改修工事を実施する予定」という。
休館中の催しは他会場を使用するなどして開催する。オーチャードホールは日曜、祝日を中心に営業を続ける。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル